なぜベクターグラフィックスに変換するのか

 画像符号化としてベクターを採用しているのは,画像の不連続性を陽に扱えるからです.逆に従来の波形符号化は,画像の自己相関性というか共分散行列を用いて,SNという観点からKLTなりDCTの有効性を主張していたわけです.ということは,ベクターにも,これに見合ったモデル化とノルムが存在して,これを利用して有効性を主張するのが「筋がよい」ということになります.

 「筋がよい」話のついでに脱線.DCTや多種多様のウェーブレットが提案されているのは,PSNRの問題だけではないのです.劣化をさせていったときに,どの基底が主観的に良好か?という問題なのです.同様に,ベクターに変換して劣化させていったときにも,期待しているのはエッジが鈍らないとか,グラデーションが維持されるとか,そういう劣化を期待しているのです.ここのところをうまく定式化できればなぁ.

 話は戻って,結局不連続性を許容した上で主観と一致するようなノルムをどう定義するか,というところに行き着くわけです.そしてこれは私がベクター変換を研究し始めた当初からつきまとわれている,客観評価をどうするのか,というテーマそのもの.堂々巡りだなぁ,困ったなぁ,というところ.