Renormalization vs Resampling

 温故知新な研究調査ばっかりやっております.というわけで,Curvature Scale Spaceについてちょっと.

F. Mokhtarian and A.K. Mackworth, "A Theory of Multiscale, Curvature-Based Shape Representation for Planar Curves," IEEE Trans. PAMI, Vol. 14, No. 8, August 1992.

これが難解なことこの上ない.難解であるからくりが分かったような気がするので,メモ.間違っていたらゴメンナサイ.

 曲率尺度空間(Curvature Scale Space,CSS)の説明は省略.この論文には3種類のCSSが出てきます.一つ目は普通のCSS,二つ目はRenormalized CSS,三つ目がResampled CSS.このうち,残り二つの差が分かりにくい.

 まず,普通のCSS.尺度σを1, 2, 3,...と増やしていきます.その上で,曲率を計算してやります.問題点は,尺度を上げていくと,サンプル点同士の距離が,不等間隔になってしまうこと.最初は等間隔でサンプリングしたのに,これはまずそう.実際,非一様なノイズに敏感になってしまいます.

 次に,Renormalized CSS.尺度σは1, 2, 3,...と増やしていきます.増やす度に,曲線の長さで正規化してから曲率を計算します.順序としてはこの通りなんだが,実際には逆.つまり,曲線の長さで正規化されるように,あらかじめ不等間隔のサンプリングをしておきます.このおかげで,非一様なノイズへの耐性がちょっと向上します.でも,計算は大変.

 最後に,Resampled CSS.小難しい理論が出てきますが,実装は簡単.小さなσをつかって,ガウス関数で平滑化して,曲率も求める.平滑化された曲線を等間隔サンプリングする.この新しい曲線を平滑化,曲率計算,等間隔サンプリング……と繰り返し適用していく.で,これは上記の二つと比べると,理論的に何が違うのか?ということろが論文の最難関部分なわけです.ちなみに,非一様なノイズの耐性への耐性が非常に向上します.さらに,計算も簡単.

 実は,Resampled CSSは実装ありきなので理論が難しくなっている,というのが私の見解.というのも,突然尺度で微分とかを持ち出しているし…….曲線の長さを尺度で微分=曲率の2乗を積分,を持ち出す意味がよく分からない.実装とは一致するみたいですが.

 意味は分からないが,尺度σはざっくり言って,1, √2, √3,...と非線形に大きくなっている,ということだけは分かります.というか,そこだけが違うし,これが本質なのでしょう,おそらく.尺度に着目して理論展開してくれればいいのに,名前を微妙に変えて,本質を突かないから分かりにくい.

 というわけで,名前に惑わされた1週間でした.結局,曲線の長さで正規化しつつ,尺度は非線形に変えた方が良いですよ,ってことだけらしい.