Google

Google-なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか」P.146より引用

人材の採用におけるいくつかのルール

この「WOLFGANG=狼の調教術」に関しては,3つの顕著な特徴があるが,第一に,グーグルのサーゲイ,ラリー,シュミットというトップ・トリオが社外でのコンファレンスでも口をそろえて強調しているように,グーグルの重要な経営原理の1つは「Technology and Hiring(=技術力と人材採用力)」である.その意味は,「最先端のコンピュータ・サイエンスに関する高度の専門技術/技能を誇りとする技術者を継続的に採用すること」である.これは,技術者だけでなく経営幹部及び一般社員にも当てはまることだが,グーグルでは人材の採用にあたり,次のルールを厳守している.

  • 採用にあたっては,第1段階で,まず関連部署のメンバーが面接にたっぷりと時間とエネルギーを投入すること.特に技術者の採用にあたっては.80人以上の技術者が面接に参画する.1人の採用に投入する平均日数は約2ヶ月,平均約87時間.
  • 第2段階として,最終面接委員会での決定は参加者の全員一致を必要すること.
  • 海外法人の一般社員の採用にあたって,アメリカ本社での最終の面接委員会での決定が必要な場合があること(各人の仕事内容による).

もちろん,シュミットのCEO就任も,村上憲郎の日本法人社長就任も,このルールに基づき決定された.

技術者集団のいくつかのタイプ分け

第2に,ギーク技術集団は,まず年齢・経験という視点から,2つのタイプ「豊富な技術体験を持つ博士号保有者」「リスクに挑戦する若手技術者」に大別される.次に専門性という視点から「科学者」と「技術者」に分けられる.

「科学者」は,4つの専門領域--マシン学習,統計データの採掘,効率的なアルゴリズム,市場理論--のどれかのエキスパートであることが求められる.

一方,「技術者」は,陸上競技になぞらえて,「短距離」,「中距離」,「長距離」の3者いずれもこなせる「多能型」であることが求められる.

技術者集団への研究への時間配分

第3に,ギーク技術者集団は,次の3つのタイプの研究にほぼ均等に時間配分することが求められる.

  • 長期--独創性の高い独自のテーマ
  • 中期--技術の評価・移転,長期研究の成果の実現
  • 短期--即座に価値を創出する技術の一部分の再利用

以上,3つの特徴にまとめられる.「技術力」と「人材採用力」がグーグル経営の<両輪>というだけあって,非常に明確で確固たる方針といえよう.

本の中の数少ないオリジナリティを感じた(私が余り明確に知らなかった)ところ.特に3番目の時間配分に注目.

もう一つ,「ムーアの法則」に関する一連の記述も興味深い.原著の解釈はそもそもおかしい.18ヶ月で性能2倍=18ヶ月で価格が半減,ということ.

付け加えるとしたら,品質にばらつきがある部品を利用しているにもかかわらず,本来以上の品質を提供していることがGFSの本質的の1つ.