LM法と信頼領域法

 Levenberg-Marquardt法(LM法)は非線形最小二乗問題を解く有力なアルゴリズムである.現在数値計算で一般的に用いられているのは,信頼領域法を組み合わせた手法である.minpackやGSLは具体的な実装例として非常に有名であり,また数値的にも安定した結果が得られる.1978年のmoreによる"The Levenberg-Marquardt algorithm: Implementation and Theory"が原典である.ただし,論文と実装には初期値選定等にかかわる部分で際が見受けられる.

 何度か解説を残しておこうと試みたのだが,やはり原論文を直接当たるのが良いという結論に達した.理解する上で参考にした文献を残しておく.

  • Jorge J. More, "The Levenberg-Marquardt algorithm: Implementation and theory," Lecture Notes in Mathematics, vol. 630, p.105-116, 1978.

これが実装する上での,というかminpackの中身を理解するための原論文.実は非常にわかりやすく書いてあるのだが,入手しにくいのが難点か.院読に普通においてあった,ラッキー.

有名な実装例.というか,これ以外はあまり性能が良くない.

  • 金谷健一,"これなら分かる最適化数学," P.132--134,共立出版,2005.

非線形最小二乗問題の基本が分かる.

  • 矢部博,八巻直一,"非線形計画法," P.46--52,朝倉書店,1999.

非線形問題全般が,道筋を立ててわかりやすく書いてある.絶版なのが残念.院読にさりげなく置かれていたのと運命的に出会った.

信頼領域法に関して,さらにわかりやすい.


 所感だけでも残しておくか.ヤコビ行列をQR分解して,最後は特異値分解に持ち込んむ.また,ダンピングパラメータλを決めるのに,信頼領域法のHebdenの仕組みを用いる.変数の正規化もやっているが,これだけでは十分な性能が出ないので注意.Intel MKLにも同様のライブラリが用意されているので,こちらを用いても良さそう.特に速いというわけでもない.